今までに訪ね歩いた場所についての備忘録。
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険しい山と海に囲まれ、古くから独特の文化を育んだ土佐の国。
高知市の北東に流れる物部川の中流、大川上美良布神社の秋の大祭には、素朴でありながら非常に興味深い神事が伝わる。

祭りでは、川上様とよばれる神様の一族が御旅所に遷られるために「おなばれ」と呼ばれる行列を仕立て、練り歩く。
行列には神輿、大太鼓、音がなる様に作られた碁盤を振り回し踊る「碁盤振り」、二人一組になって棒を叩き合い音を鳴らす「棒打ち」、舞姫、天狗、獅子舞、稚児など様々な人々が連なるが、その中でも特に不思議な雰囲気をもつのが「鳥毛・とりけ」である。

江戸時代、参勤交代を申し付けられた各藩は幕府によって定められた独自の「毛槍」(けやり・装飾のついた長い槍)をかかげ、江戸との間を往来した。毛槍には羽熊(ハグマ・白熊とも綴るヤクの毛)や、白鳥、小鳥毛、猿毛など様々な素材と形のものがあったと伝えられるが、土佐藩の毛槍は尾長鶏の羽で作られた鳥毛で、江戸でも有名なものだったと言う。

この祭りには5種の毛槍が用いられているが、その内の一つは尾長鶏で作られた鳥毛だ。

「おなばれ」に従う毛槍は絶対に地面につけてはならない事になっているため、鳥居や電線をくぐる時、6mもある棒を地面に触れぬ様に傾けて進まねばならない。一時休憩する時も草履の上に棒を立てて休む。


祭りのハイライトは「おなばれ」が御旅所から戻り、この毛槍を持って神社に参拝する「練り込み」の瞬間だ。
毛槍は傾けるとテコの原理で非常に重たいものになる。そこで毛槍を持つのはその年に選ばれた力のある若衆の役目となるのだが、ハイライトではその毛槍を参道に三度、地面ぎりぎりまで倒してお披露目をした後、拝殿の中に傾けた毛槍を突っ込み、三度大きく揺らす動作を行う。
揺らすことによってバネの力でさらに重たくなるのだが、その間に一度、片手でお参りの鈴を鳴らさねばならない。
鈴を鳴らした後はそのままの体勢で後ろ向きに石段を下り、参道の両端で見学する参拝客の頭をなでる様に三度触れた後、棒を引き起こす。

一連の動作には若衆の体力の限りを尽くして行われるため、見守る観客にも力が入り、神社全体が一体感に包まれる。スポーツを観戦する時に似た感覚だ。
かつて祭りというものには観客も参加者も一体となるカタルシスの効果があったのだろうと思われるが、そんな事を連想させる瞬間だ。
以前、祭りが持っていたその役目を、現在ではオリンピックやワールドカップが代行しているのだろう。


また、かつての空間概念として、「高い所にあるもの=尊い」といった感覚があったと思われるが、この祭りはその感覚が追体験できるものだった。
この祭りが行われる集落の建物は平屋が多く、毛槍が遥か上方で揺れているのだ。遠くからも「おなばれ」がどの辺りにいるのかがわかる。
京都・祇園祭で薙刀鉾の先に取り付けられる薙刀も、かつては仰ぎ見ることで神性を感じたものだっただろう。

大川上美良布神社の秋の大祭は、そんな在りし日のお祭りを体験できる貴重な行事だと感じられた。

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