今までに訪ね歩いた場所についての備忘録。
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「東南アジアのホタルはクリスマスツリーの様に、光が同時についたり消えたりする。」
子供の頃そういう話を聞いて、ずっと見てみたいと思っていた。


マレーシアの首都クアラ・ルンプールの郊外にあるクアラ・セランゴールはホタルで有名な町だ。

夕暮れ、ホタルが住むという岸辺に着いて、四人乗りの小さな手こぎ船に乗り込む。暗い川の両岸には木の茂みが続いていて、木立の黒いシルエットが見えるだけだ。
一人の船頭によって漕がれる舟は、音も無く静かに流れる川面をゆっくりとすべって行く。
ふいに友人が「あっ」と声をあげた。

指し示す方向を見ると、暗闇の中にかすかな光が見える。
ゆっくりと進む船に身を任せていると徐々に光の数が増えてきた。暗闇に目が慣れる時間が必要だったのだ。
暗闇から浮かび上がってきた風景は、とても言葉にできないような幻想的な景色だった。

星のように小さな、そしてもっと柔らかな光が、一斉にふわりと光っては、フワッと消える。河辺に生える優しい枝振りの木は、細い枝の先まで無数に青白い光が散りばめられている。

「銀の雫(しずく)ふるふる まわりに」とは、知里幸恵の『アイヌ神謡集』の一節だが、そんな銀の砂が蒔かれたような景色がどこまでも続いている。

同行した友人がマレー語で船頭から聞くところによると、ホタルの光は川に沿って数十キロも連なっているらしい。その様子を想像するだけでも不思議な気持ちになる。

ここで味わえる景色は暗闇と豊かな自然、静かな音風景から成り立っていて、どれが欠けてもこの雰囲気は生まれない。十数年前から観光資源としてこの環境が保護されているそうだが、これからもずっと残っていてほしいと感じさせる光の景色だった。

(写真左)
ホタルを見るための船のりば。ホタルの写真撮影は禁止されている。
(写真右)
セランゴールへ行く時に買ったドゥクと呼ばれる果物。グレープフルーツのような爽やかな味がした。



 
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